「個人再生した場合の財産」に関するお役立ち情報
清算価値保障とは
1 清算価値保障とは?
清算価値保障原則というものが個人再生含む民事再生の手続き上のルールとしてあります。
この清算価値保障原則の内容や背景についてご説明いたします。
2 清算価値とは?
清算価値保障原則の前提として、そもそも清算価値とは、というところからご説明したいと思います。
清算価値というのは、ごく簡単に言ってしまえば「手持ちの総財産」です。
個人の方を例に考えると、現金、預貯金、車、不動産等はすぐ思いつくかと思います。
車や不動産は時価額を調査し、財産価値を把握することになります。
住宅ローンが残っている方の場合には、時価額-住宅ローン残額を清算価値として評価します。
そのほか、積立型の保険を解約した際の解約返戻金等も清算価値に含まれますし、有価証券ももちろん含まれます(上場株式だけでなく、非上場の持ち株等も対象となります)。
実務上はあまり問題になる事例は多くないものと思われますが、高額の家具架電、貴金属等も財産価値があるため、時価額で清算価値に含めます。
イメージしにくいところですと、退職金も、将来受けとることが予定された財産として清算価値として評価されます。
実務上は、現時点で退職が予定されていない場合、今退職すると退職金がいくらになるかを算定し、その1/8を清算価値として評価しています。
3 清算価値の保障
清算価値を誰に対して保障するのかといえば、債権者に対してということになります。
清算価値保障原則というのは、破産手続との比較で考えられている原則といえます。
破産手続の場合、申し立てた側からみて借金の支払いが免除される手続き、と捉えられることが多いと思いますが、債権者側から見たときには、申立人が有する財産を現金化し、その範囲で支払いをしてもらう手続き、という捉え方になります。
再生手続きの場合、法律に従った割合で債務を圧縮し、一部の返済をすることで最終的にすべての返済義務も免除されることになりますが、ここで、清算価値保障の観点から、返済予定額は、清算価値以上には圧縮できないものとされています。
つまり、再生手続きをする場合には、破産手続きをして債権者に財産を分配するのと比較して、債権者が不利にならないよう、清算価値(=破産手続きであれば債権者に分配されると見込まれるもの)と同じかそれ以上の返済はしなければいけない、というルールになっている、ということになります。